鉄鋼材料の選定ポイント
鉄鋼材料を選定するポイントは、以下のように要求されるポイントが何かにより決められます。
(1)加工しやすい材料
被切削性が良い材料仕上がり肌が良好なもの、刃物の寿命の長いもの
Cが0.3%くらいの鋼、あまり柔らかすぎると切削性が悪くなる。
S20C,快削鋼など 深絞り性が良い材料やわらかいもの、加工硬化しにくいもの、伸びの大きいものCが0.15%以下の鋼SPC,SUS304など
(2)さびにくい材料
Cが少ないほど良い、Crの添加が有効
アルミは空気中で酸化して耐食性の良い酸化被膜を作る
銅は空気中では緑青を発生する。真水ではさびない。海水では腐食する。
銀は硫化水素(H2S)と反応して硫化銀を発生する。 金は、ほとんど腐食しない。
(3)美観がきれいな材料
空気中で酸化されず、かつ化学変化を受けることの少ない金属金・銀・白金・ イリジウムなど、さびにくい金属が一般的に美観がきれい
(4)鋳造しやすい材料
融点が低いもの
鋳鉄、アルミ、銅合金など
(5)硬い材料、耐摩耗材料
Cが0.3%以上0.6%までは多くなるほど固くなる0.6%以上になると耐摩耗性が上がる
厚さ14mm、直径20mm以内ならばS45C で必要に応じて調質
それ以上の物はSCM440、靭性が必要な場合はSCM415浸炭焼き入れ
耐摩耗部品で丸棒形状ではSUJ
(6)熱伝導率が良い(悪い)材料
伝導率の良いのは銀、金、銅、導電率は低いので通電材料に適している。
悪いのはステンレス、鉛 急速に熱くならない代わりに保温性に優れている。
(7)強度がある材料
強度があるとは? 引張り強さが高い、硬度が高い、衝撃に強い、耐摩耗性が高い 硬くなると衝撃に弱くなる。柔らかいと衝撃に強い。
硬くて衝撃に強くするためには、完全焼き入れしたものを焼き戻しすることにより、高められる。 耐摩耗性は固いものほど高くなる。
内部応力の高いものは、硬い割に摩耗する。焼き入れ後、低温焼き戻しで内部応力を除去する。
(8)溶接しやすい材料
Cが0.4%以下が望ましい。
溶接熱影響を受けて割れが発生しやすくなる。
SS400は粗悪品が混ざる可能性があるのでSM材が望ましい。
異材との溶接は、可能であるが注意すべき点が多くある。
(9)安価な材料
鋼材単価は月単位で変動します。2016年の概略平均単価を示します。